始めるなら今!来年のスギ花粉が飛び始める前に始めたいシダキュア

毎年春の訪れともにやってくるスギ花粉症。
マスクだけで耐えられる人から薬を使っても涙、鼻汁が止まらない人まで症状は様々です。
治療薬としては内服抗ヒスタミン薬が主に使われており、それに点眼・点鼻を加える、という方が多いと思います。昨年から抗体薬であるゾレア(一般名:オマリズマブ)が重症アレルギー性鼻炎に対しての保険適用が始まりましたが、最大量を使うと1か月約37万円と非常に高価な薬となっています。
そこでお勧めしたいのが、舌下免疫療法です。

舌下免疫療法とは?

文字通り舌の下に薬剤を入れる治療です。
そもそもアレルギーとは体の異物(アレルゲン)に対する過剰な防御反応です。
この薬剤にはギ花粉アレルゲンが少量含まれており、毎日スギ花粉を体内に取り入れることで体を慣らし、アレルギー症状が出なくすることを目標としています。
もともと皮下免疫療法といわれる注射による治療もありますが、毎日1錠内服するだけのため通院の頻度を減らすことができ、継続しやすくなっています。

対象は?

以前のシダトレンという薬は小児への使用は不可でしたが、シダキュアではその項目は撤廃されました。しかし依然下記については安全性や効果が保証されていません。
・5歳未満の小児
・妊婦や授乳婦
・65歳以上の高齢者

処方を受けるには?

指定の講習を修了した医師しか処方できないため、処方可能な医療機関を以下で探してから受診するようにしてください。

  • https://www.torii-alg.jp/mapsearch/cryptomeria.html


また保険で治療を受けるには“スギ花粉症であること”の確定診断が必要です。
方法としては皮膚反応テストと特異的IgE抗体測定がありますが、抗体測定のほうが簡便かと思います。抗体測定はスギ単体であれば3割負担で800円程度の検査代となります。しかし「ついで」に割安なView39という頻度の高いアレルゲンを39種類まとめて検査して4,800円(3割負担)というものもあるので、こちらを選ばれる方が多い印象です。
確定診断がついたら、治療開始となりますが以下の人には投与できないので注意が必要です。
絶対禁忌
・重症気管支喘息患者
・シダキュアでショックを起こしたことがある人
そのほかにも気管支喘息の既往がある人、悪性腫瘍の治療中、免疫系に影響のある疾患や治療を行っている人、βブロッカー(不整脈等心疾患で使われる)使用中の人、三環系抗うつ薬使用中の人等投与の可否を慎重に判断する必要があることがあるので、処方医に自分の既往や使用中の薬を提示できるようにしておくと安心です。

またスギ花粉が飛散している時期に治療を開始すると副作用が増強するとされているため、毎年1~6月の間は治療開始ができません。なので来年に備えて治療を希望される方は、年内の治療開始が必要となります。

費用はどのくらいかかるの?

2000JAU製剤は1日1錠・1錠57.70円、5000JAU製剤は1日1錠・1錠144.10円です。
もちろん保険適応となっていますので、3割負担であればそれぞれ
2000JAU:17.31円/日→1週間で121.17円
5000JAU:43.23円/日→30日で1296.9円
となり、これに通院費がかかる形となります。
ちなみに花粉症治療によく使われる抗ヒスタミン薬で代表的なものですと
・アレグラ錠60mg:104.6円/日(ジェネリックのフェキソフェナジンだと30.6円/日)
・ビラノア錠20mg:79.70円/日
・デザレックス錠5mg:62.4円/日
となっています。シダキュアは1年中使用するため、花粉が飛んでいる時期だけ使う抗ヒスタミン薬とは単純に比較できませんが、著しく高価というほどではないかと思います。

治療スケジュールは?どのくらいの期間内服するの?

初めの1週間はより少量のアレルゲンから体に慣れさせる必要があるため、2000 JAU製剤を使用し、問題なければ2週目から5000 JAU製剤に変更します。

治療期間は3年以上が推奨されています。しかし3年使い続けないと効果がない、というわけではありません。治療開始後初回の春には程度の差はありますが、8割程度の方は効果を実感されている印象です。

服用方法は?

舌下投与薬なので口に入れると速やかに溶けていきます。文字通り舌の下にいれて溶かし、1分間は飲食を控え粘膜から吸収させます。

安全性・副作用は?

比較的見られる副作用としては、
口腔内の浮腫・違和感、喉の違和感、耳の掻痒感等の軽いアレルギー反応
があります。
一方頻度は低いものの、重篤な副作用に
アナフィラキシーショック
があります。アレルギーの人に少量とはいえアレルゲンを投与しているため、どうしてもこのリスクは回避できません。
・治療開始初期
・スギ花粉が飛散している時期
の投与後30分は副作用の発現に特に注意が必要です。
アナフィラキシーは急速に症状が進行するため、不安に思う症状があれば速やかな医療機関受診をお勧めします。

とはいえ、初回投与は院内で行うので十分な注意をしていれば過度に恐れる必要はないでしょう(そもそもそんなに危険であれば国が認可しないので、保険がききません)

最後に

私自身は幸い今のところ、スギ花粉へのアレルギーはないので、実体験として効果をお伝え出来ないですが、使用している方のお話を聞くと、満足度はかなり高い治療だと思います。
今はコロナ禍であることもあって、オンライン診療も発達しつつあるので、初回さえしっかり通院すれば以降はオンライン診療でOK、というクリニックもあるので、継続も難しくないと思います。気になる方は対応医療機関を検索いただき、一度説明を聞いてみてはいかがでしょうか?