冬が近づくにつれインフルエンザの流行が懸念されます。
今年は新型コロナウイルスへの対策もあり、例年ほどの流行はしないのではないか、という予想もありますが、やはり感染力は強いことには変わりありません。インフルエンザ自体はかかっても高齢者や乳幼児以外においては高確率で自然治癒が期待される感染症ですが、今年は発熱すると新型コロナウイルス感染と区別が付きづらいため、色々と不都合がおきそうです。
そのため今年は普段インフルエンザワクチンを打っていない人も接種する人が増えています。
1. ワクチンは痛い
さてインフルエンザワクチンですが、成人であれば二の腕の皮下に0.5mlを注射しますが、物理的な圧迫と浸透圧差・炎症反応による疼痛がおき、これが結構痛いですね。
この痛みを嫌って子供はもちろん、大人でもワクチンを打たない人がいます。
しかし、この痛みを解消できるかもしれないワクチンがあることをご存じでしょうか?
2. 経鼻ワクチン
そのワクチンは経鼻ワクチンといい、文字通り鼻に噴霧するワクチンです。詳細は割愛しますが、弱毒化生ワクチンを鼻粘膜に噴霧することで、感染類似状態を引き起こし、免疫記憶を惹起するものです。
日本ではまだ未承認のため公的保証制度対象外で、個別で輸入している一部のクリニックでしか使用できません。
3. 経鼻ワクチンの効果は?
2016-2017、2017-2018シーズンには海外でも有効性に疑問ありとなったため、使用されていませんでしたが、その後見直され、今期は2-49歳では使用が推奨されています。しかし使用歴は浅いものとなるため、その効果についてのデータは多くありません。
しかし理論上は、
通常のワクチンのIgG抗体誘導に加えて、鼻粘膜での防御をつかさどるIgA抗体を
誘導するため、感染成立の可能性を下げるのではないか
とされています。
4. 安全性は?
生ワクチンですが接種による感染成立は見られていないようです。
また妊婦は対象外とされています。
その他重大な副作用はあまり報告がないようですが、他のワクチンと同様にギランバレー症候群やアレルギー性の副作用の可能性はあるでしょう。
5. 費用は?
検索サイトで「フルミスト」と検索すると接種可能なクリニックが多数出てきますが、
概ね10,000円弱のところが多いようです。
やはり通常のワクチンに比べると割高感は否めません。
6. 結局経鼻ワクチンはどうなの?
免疫誘導の機序や、接種の手軽さからかなり期待されるワクチンですが、今のところ効果に関してのデータの少なさと、費用の高さから
・絶対に痛いのが嫌!
・少しくらい高くてもいい
という人向けのものかもしれません。お子さんで“注射”と聞くと頑として拒否するけど、コロナ禍の発熱は避けたいから、インフルエンザワクチンを接種させたいという場合も有効化もしれません。
今後データがそろって、一般化されることに期待です。